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尻から始める機械化

日記

尻から火が出ている。イメージとしてはロボットアニメなどで足からロケットブースターが噴射されているものが近い、尻についてるのはどうかと思うが。とにかく俺はサイボーグと化した。少年期の念願叶って機械の体を手に入れたのはいい、が、加速しない。致命的欠陥。加えて噴射口を人間の急所である肛門にあてがうという設計ミスのおかげで尻がひりひりと痛み出した。人間の機械化の偉大な第一歩だとしても重大なミスが2件もあっては俺の体が持たない。サイボーグになっても催す便意のことも加味すればもはや三重苦と言っても過言ではなく、業火を噴き出さないようにギリギリのバランスを保ちながら踏ん張り、なんとか目的のものだけを排泄し終えてペーパーで尻を拭うと赤い液体が。ははあ燃料漏れだなと一人合点をいかせていると猛烈な灼熱感が下半身に。あれ、延焼した?

分かっていた。俺に内燃機関などなく、その排気口など必要はないのだと、この灼熱感もただの痔に過ぎないのだということ。違和感も確かに前からあったが日常生活に支障を来すほどまでに尻から火が出てくる(ここでは比喩として受け取ってもらいたい)とは。もしかして結構な進行度の痔じゃねえか、とSNSで呟きをこぼしたところ、痔には肛門の筋トレがいいですよ、とありがたいお言葉を頂いた。ので、早速「痔 筋トレ」でググると痔のポータルサイトのようなウェブサイト、痔になりやすい人の条件がトップに箇条書きにされていたが「痔は女性がなりやすい」の一文で盛大にずっこける。が、以降の条件を見るに辛い物を頻繁に食う、長時間座ることが多い、尻を冷やすなど俺のプライバシーが赤裸々に綴られていたので目頭が熱くならずにはいられなかった。俺が女だったら痔を罹患するために生まれてきたようなもんだ。

筋トレは確かにやった。肛門に力を入れて3秒保つ→肛門を開くようにして3秒保つ→力を入れて3秒のループをして血行を良くしようという試みで、歯を磨きながらでもできるということだが対症療法としては疑問符がつくし地味だしで1日で終わった。結局のところ薬局にて買ったボラギノールを中にちゅーっと注入するのが良いに決まっているのだ。風呂に入って肛門周りを重点的に清め、下半身を丸出しにして便座に座す。出す専門の穴に入れるというのは想像以上に緊張するもので、まして今回のように液状の物質をねじ込んだ経験は初だった。同梱の説明書を3回ほど読み返してからチューブの先端部を肛門に差し込むと、(前略)過去と未来に関する普く一切の記憶や思考が去来し、それは薄暗いトイレの個室を走馬灯のように照らした。(後略)かくして人事は尽くされた。痔などなかったもののように完治し、俺には日常が戻って来るはずだ。万が一治らなかったとしたら、その時はサイボーグとして生きていきたい。