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53 続・夢語

忍者になっていた。俺は忍者になどなりたくはなかったが、周りの連中がどうあっても俺に忍者の役割を押し付けてくる。忍者というのは委員会活動か何かだったんだと思う。それというのも、俺の父親が忍者の歴史に関して権威のある大人物でWikipediaとかでろくろを回すような人間だった、というどうしようもない理由からである。もちろん夢の中の話。忍者だから戦っていた、それはもう3つの次元をフル活用して立体的に。謎の敵と火花立つ白刃を交えたかと思えば飛び道具で雨を降らす。時には何か物理法則を無視したものを体内から放出しながら、チャクラを駆使して放出しながら。チラチラとゲージの溜まり具合を確認しつつ、黄で戦装束を統一した敵勢力の懐に飛び込んで縦横無尽。このゲージがたまると必殺技が打てるシステムになっている。あらかた黄巾賊は片が付いたので車に乗り込んでアジトから逃げる、多分走った方が速い。逃げ込んだ先は小6の頃に修学旅行で訪れたいちご狩りの畑によく似た場所だったが肝心のいちごがまだ青い。代わりに何か支給されることになり、それを入れるための器が必要ということだったが一行は誰もそんなものは用意しておらずさてどうしたものか、と思案していると肩口に何か吹き矢のようなものが刺さって非常に痛かった。忍者が油断するとこうなる。

これこれ。こういう夢を俺は望んでいた、日常を忘れさせしばらく余韻に浸らせることのできる夢。事実俺はこの日目覚めてからも俺の親父も有名になったもんだとしばらく呆けていたほどだ。最後の吹き矢のダメージも妙にリアルで、おそらくは毒が塗り込まれていただろうからあのまま寝ていたら危なかったかもしれん。印象に残る夢ってのはこうじゃないとやっていけないよ。人生で一度だけ見た予知夢が一番心に残ってはいるが、それは一限目の体育が2限目に変更になるという業務連絡。保健体育の授業を受けている夢から覚めたら保健体育の授業を受けていたというものもある、無限ループものと言えば多少聞こえはいいのだろうがチャイムは鳴り、俺は円環の猿轡から解放され今を生きている。前者はチャネリング、後者は座席の位置などが現実と同じであった点からして念写に成功したのではないか、以上から高校生時代の俺は何がしかの能力に目覚めかけていたのではないかと仮説も立てられるがいかんいかん、こんな話でオカルト方面にブーストなどしていては、いい加減目を覚まさなければ。