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45-ハッピーパウダー

日記

花粉にまみれている。

マイクロメートル単位の物質が目に見えてるのかお前は、とか言われそうなもんだが明らかに花粉、部屋中が粉っぽい。口呼吸するたびにぺりぺりとした物体Xが張り付いてくる、鼻呼吸すると粘性のある液体という形で信号が返ってくる。四六時中目を掻き毟っている、パンダになって上野動物園に生け捕りにされる日も近い。辛い。居間で飯を食っている間に窓を開け放ったのが間違いだったらしい、というか窓を開ける前と開けた後で完全に別物、最近流行りの異世界とかもこの季節に窓開けてたら行けると思うのだが。雨戸というトラップは花粉に立ち向かうには大変目が粗いのでございます。俺は窓を開けるのが好きな人間だから困る、他に窓を開けるのが好きな人間がいるのか知らないのでこの話が伝わるのか分からないけど一日で窓を開けている時間がないと落ち着かない、新鮮な外気を浴び、高校球児の怒声に耳を澄ませながら飲む水が美味いのだ。

しかし辛い、じっとベッドに身をくるませながら咳を一つ打ち鼻をかむ時間の無為なこと。どこか布団も粉っぽい感触があって実に不快だ、ああ不快だ。そうしているうちに俺は受粉をしているのではないかという気がしてきた。人間が受粉、文章を書き始めてから5年くらい経ちその間に意味不明なことを割と言ってきたけど(訳わからんという感想がすでに届いている)、今までで一番意味不明なこと言ってる感覚ある。目や鼻やのど、微粒子によって粘膜という粘膜が現代アートに仕立てあげられているこの窮状を俺は受粉と呼ぶことにした。これ以上の踏み込んだ説明をしようとは思わないし多分できないし。おしべが飛ばしてる花粉に侵されてるんだから、それはもう受粉でいいのではないか?と、今まさに窓に手をかけようとしていた。これ以上粉密度を上げてはストーブから粉塵爆発とか起こるかも、これも窓を開けられないストレスのせいだ。俺の生活は花粉に侵されている。即ち受粉している。もう少し暖かくなったら芽吹いたりするのかも分からない。来春には花が咲く。また花粉。受粉。辛い。