読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

38-1円を笑うものは10円で腸捻転

日記

別に寒いからと言ってあったか~い飲み物を選ばなくてはいけないわけではない。人生において、自動販売機で買う飲み物の実に半分ほどがリアルゴールドである。今回ももれなくリアルゴールドを選択、周りのものと比べて10円お安く大変お買い得となっております。100円硬貨と50円硬貨を入れると50円だけがキャッシュバック。硬貨が自販機に嫌われるということは往々にしてあるものである、思春期の女の子に「生理的に無理だから……」とか言われた経験を思い出すとよい。それに近いことが自動販売機と硬貨の間で日々行われている。いくらこの50円が平成生まれだからって露骨に嫌わなくてもいいだろう、返却口に青春敗北者の50円を迎えに行ってやると、「10円切れ」の赤いランプが灯っているのを発見。

自販機に思春期などは存在しなかった、生理的ではなく事務的に無理だったらしい。10円玉がないかと自販機の明かりを頼りに財布の中を覗き込むと銅のアーチがちょうど2本。入れ口に滑らせると2枚とも問題なく貯蔵庫に落ちていった。光るボタンを押すと生み落とされるリアルゴールド。トレイに手を伸ばすと10円切れのランプが消えていることに気が付く。

私の財布から10円が尽き、自販機の貯えに10円が満ちた、というのはまるでバトンを受けたような気分で中々に滑稽であった。このバトンをできることならまた誰かへと引き継いでいきたいものだ。地球のみんな、ありったけの10円玉をオラに分けてくれ。あいにくZ戦士ではない私には10円玉は集まらないのでこのバトンはここで終わることになる。リアルゴールドの缶を傾けると炭酸の刺激とナイアシンが広がる、まさに本物の金である。確かに私から10円は失せた、だがそれだどうだというのだ。物は失われても心に一つ、まばゆく光るものがある。「10円切れ」のランプである。