36-古本屋哀歌(エレジー)

街のサブカルインフラ、ブックオフ

自動ドアをくぐると間もなくPerfumeの「チョコレイト・ディスコ」が流れ出した。時期と言えば時期だが平日の昼下がりから非実在青少年に囲まれるためにここへと足を運ぶ人種への配慮が欠けている。なぜか少年ジャンプのコーナーが二分割されていることに気付く。続いてHIGH and MIGHTY COLORの「一輪の花」。選曲センスには拍手を送りたいがRadioheadの陳列の不備は頂けない。そして平井堅の「Why」。センター試験を終えてから二次試験までの間、「THE CHANGING SAME」と「LIFE is...」をヘビーローテーションして心を落ち着けることで闇の自宅浪人時代にピリオドを打つことができた私にはすぐに分かった。15年前にリリースされた曲が流れているこの状況にこそwhyの念を抱きもするが瑣末なことである。シャラララ……のイントロの時点でミーヤキャット直立。――愛を語り肌を重ねることから――この少々エッチな歌詞とエッチな歌声のおかげで今や私も大学生という名のPOP STAR。ただ、一つ思い出したのは私の部屋の平井堅御本尊のリミックスアルバムのMDにどういう因果律かは知らないが、途中からテレフォン人生相談の音が録音されていて、最後まで聞けないということだ。はち切れそうな恋を訴える歌声は、義娘が遺産を狙っている窮状を訴える涙声に突然メタモる。幸いにもここはブックオフ、わずか数秒で件のアルバムを確認。

アルバムに手を伸ばして、止まる。今のブックオフの傀儡ではないかと思ったのだ。曲のかかっているアーティストのCDを買う、単純な思考。ギリギリ平成生まれにしか伝わらないナンバーを流す理由にも合点がいく、私のような資本主義の犬を大口を構えて待っていたのだ、BOOK OFFという綴りの英字の穴一つ一つが私という餌を喰らうために開かれていた。クラブミュージックが流れているHMVにて、チェケラッチョなギャルが店員にこのCDどこにあるんですか~?と尋ねていたことを思い出して、いやいやこれは自然なことなのだと己に活を入れるが、どうにも歯がゆいものがある。「あの子は私が死ぬのを待っているんですよ……」決めた、買う。「280円になりますー」レジの女店員はあの時内心笑っていただろうか、もう少しチェケラッチョに染まる必要がある。――Why? 答えは何処――