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受験期にお世話になった神社に早朝初詣に行くのがここ数年の元日の恒例行事なので、五時半の暗い時間帯から家を出る、と、ものの5分で雨がパラつき、ものの10分で雨は夜更け過ぎに雪へと変わっていった。サイレントでホーリーなのはおそらく間違いではないがナイトではなく君はきっとどころか永遠に来ないタイプの山下達郎、如何せん寒い。つい先刻まで温かい布団の中にいたはずが、氏神様は僕を寒天ゼリーにでもしたいのだろうか。進むにつれて雪は激しさを増し、ただでさえ夜中に利かない視界がさらに押しつぶされていく。たまらず途中のコンビニへ。

「あっ、いらっしゃいませ~」あっ、ってなんだあっ、て。大きめのダウンジャケットに雪を重ね着し、死にかけのベイマックスのような容貌をしているとはいえ魔物とのエンカウントを思い起こすのも分からなくはないが。「いやぁ雪降ってますね、寒いッすね~」一年で最初にフランクな会話を交わしたのがコンビニ店員という勲章は胸に飾るべきか、それとも室伏に投擲を依頼すべきか。彼への返答もほどほどにあったか~い飲み物コーナーでほうじ茶を選びレジに行くと先程の彼、いやアイツがパートのオバチャンと肩の揉みあいっこをしていた。悪人ではないのだろうが、人の末梢神経を踊り食いするような接客態度は戦場まで隠しておくべきだと僕は思う。

コンビニから出ると雪は一層激しくなっていた。目出し帽がnon-noでピックアップされるレベルの豪雪、ネックウォーマーと肌の間にホールインワン。こんな屈辱は初めて、と思う間もなく眼鏡と目の間にアルバトロス、こんな屈辱も初めて。雪が暗殺術を覚えていたというなら早めに天気予報で教えてほしかった、相変わらずの視界の悪さも乗り越えて何とか神社に到着。果たして僕を待っていたものは。震える手で巫女さんに両替を頼んでまで引いたおみくじが何の面白みもない中吉、唐突に告げられた前厄だという事実。新年早々に味わう数多の初屈辱に圧倒されながら、せめて肉まんでも買って帰ろうと訪れたコンビニ、相変わらず続く揉み合いっこ。こっちを向く笑顔。

この屈辱は二回目。