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そしていくつもの単位がアタシの体を通り過ぎて行った。教育委員会が吐き出したエラーとして、冬休みの期間中も単位を求めて大学に足繁く通う姿はそのままメッキしたらさぞかし二宮金次郎然とできるに違いないのだが、休み期間中に大学に行くには入り口付近で猫の交尾でも見学できない限りはモチベーションが上がらない。単位を七つ集めることで願いを叶えることができるアドベンチャーの観点に立ったシステムも一興だが、それでは世の学生は卒業するまでに一人当たり20個くらい願いを叶えている計算になるし僕だって3つくらいは願い事ができる。単位を下さい。

教室に入ると燦々と光放つ一回生のオーラ、その光の粒の一つ一つが僕の心を挽いて粉状にしていく。彼らのあのテンションを錬金できるテンションがひどく恐ろしい、サンタの格好してるやつが2名ほどいて意識がウルトラC。加えてこの単位がないと卒業できないというオチ。仮に卒業できたとしてもその頃には僕はおいしいパンになっていることだろう。何かがおかしい、開かれた学問の扉が僕の目の前で音を立てて閉じようとしている。単位が欲しい学生に全方位から遠距離総攻撃を仕掛ける大学、その意義とは。大学のシステムが間違っているとは言わない、ただ我々のような学徒、基礎分野を2年かけて学ぼうと象牙の塔に3点倒立する我々にこそ快適な学習環境を用意するべきではないだろうか。ここを読んでいる教授の方々などはご一考願いたい。

何を望むか。人間は誰しも孤独を感じる瞬間があるもので、我々はまさにその環境に丸腰で立たされている。月は常に同じ面を向けながら地球の周りを公転しているが今この時期こそ僕たちが月のダークサイドに足を置いているということの理解を持ってほしい。優しさ、無軌道で無機質だったとしてもどんなに不器用でも構わない、人類に生まれつき備わっている普遍の感情、我々が求めているものはただそれだけなんだ、そしてその優しさを向けるのは我々だけである必要はない、等しく一回生にも与えられるべきだと思っている。包み込むような愛の言霊を耳元でささやき続けて欲しい、何なら教授ご自身が詩に乗せて歌っていただいてもいい、あ、でもどうせ歌うなら広い講堂の中でサイリウムを両手に持って生歌ライブとかでもいいかも、主役の登場を待ち続けた我々――もはや一回生と二回生の垣根は取り払われた――のもとに煌びやかなステージ衣装に身を包んだ教授が現れて割れんばかりの歓声、

「みんなーっ!!今年も私の講義を聴きに来てくれてありがとー!!!」

単位は落としたくないものである。