読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

16

主人公になれる塾。

そんな看板を立てている塾を通りかかった。なるほど確かにクリスマスからお正月にかけての商業戦略から主人公の需要はこれ以上ないというほどに高まっている、加えて「高校生の生徒募集中!」という看板も脇に見つけ、年齢的にも主人公適齢期だと言えるので、ここでは全国から選りすぐりの主人公候補が集まり、さらにその中から選び抜かれた主人公の中の主人公が諸兄が握っているコントローラーからの入力を待っている、ということで間違いないだろう。しかしただ主人公と言ってもそれに多岐に渡る。ジャンプするなど手から火の玉を出すなどしてお姫様の救出に向かったり、ロトの紋章を持ち仲間とパーティーを組んで各地で魔物の征伐したり、はたまた魔物を使役して地方のチャンピオンになったりするし、異性との心と体の交流を主とする者までいる、その一切が寂れたビルのテナントから輩出されているなどとは到底信じがたいがこれは事実。あの日操っていた諸々の勇者やポケモンマスターたちがここの卒業生なのだ、そう考えると目頭から何か熱いものがこみ上げてくる。中ではどんな凄い授業が行われているのだろう、メラの撃ち方や最後の人類としての心構えなどの講義を少しでも見たいと覗いてみると机に向かってカリカリと手を動かす中高生が数人。僕は確信した。

あれ冒険の書だ。