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帰りのバスを待っている停留所で、隣にファミチキにかぶりついている輩がいた。時刻表を確認しながら、もうすぐバスが来ることに気が付くと流石に車内ではまずいと悟ったか、ペースを上げて食らう。車内で食おうが食わまいが、ファミチキからにじみ出る油と多種スパイスのニオイが結構な強さであることに残念ながら気が回らなかったようで、いざバスが来て彼も車内に入るとなるほどスパイシースメルが蔓延する。冷房のさわやかな風にのって運ばれてくる。彼奴、チキン野郎のくせにストロングハートである。

かくして、バスはファミチキのニオイごと人間を運ぶ。思うのは、ファミチキ自体のニオイはあまり不快ではないということ。ただ、自分がものを食べていないときに他人の食い物からニオイがするという事実そのものが不快。むしろファミチキ自体は割といいニオイ。今隣に炊飯器があれば炊き立ての白米を乗客全員に振舞って、そのニオイだけでみんなでお食事会と洒落込むこともできたろうが、ざっと20人弱いる乗客全員にご飯を盛るには業務用のものが必要になるし、何よりバス車内なので無理だ。

何とかして米を手に入れて、それを蒸気で瞬時に炊く手段は無いか。このニオイだけでご飯3杯をかき込みたい。あれこれ手をこまねいているうちに、バス停でドアが開いたり閉じたりで、このニオイが車内から漏れ切ってしまうではないか。

それでいいか。