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ご注文はゴリラですか?

量り売りの総菜屋、並ぶ品々の前に佇むゴリラが1匹。おそらくは番人ならぬ番ゴリラなのであろうがもう少し衛生面その他について考慮してほしいところである。おかず第一希望の筑前煮と俺との間に立つその姿はマスコットとして成立しうる程度の愛嬌を残しつつも、番ゴリラとして泰然とした構えを見せている。無垢さと威圧感を孕んだ視線を照射され続けているうちに食欲および購買意欲は減衰しかけるも、こんなことで筑前煮を諦めてはいけないと決心し前進、すでに取っていた別の惣菜をゴリラに見せつける。恐る恐る近づいてくるゴリラ、それを確認しつつそっと惣菜を地面に置く。要は撒き餌作戦だ。ゴリラが惣菜に興味を向けているうちに筑前煮を我が手に取ろう、という至極簡単な作戦に過ぎない。が、相手はゴリラなので上手くいくだろう、夕餉の一品を無事確保できる喜びに小躍りしながら別角度から目標に回り込むと、すでにそこにいたゴリラと目が合った。何故。脳筋の代名詞としてのゴリラが定着しつつある昨今、頭脳勝負でゴリラに敗北を喫した衝撃は大きい。

にじり寄ってくるゴリラ、またもイノセントな視線に晒される、この時間が辛い。「何かくれるヤツ」として判断されてしまったのだろうか、物言わぬようでいて何か訴えるような単純でいて複雑な表情だ。「ゴリラとエンカウントした時のテーマ曲」が俄かに流れ出す。そこを通してはくれないだろうか、淡い期待を抱いて残っていた惣菜を差し出すとその剛腕に似つかわしくない繊細な手つきで受け取り、また俺の方を見る。母親らしき人物に「何、そのゴリラ気に入ったの?餌付けでもしてるの?」と訪ねられる。違う、これは餌付けをしているのではない。俺が餌付けをさせられているのだ。「でもダメでしょ、うちにはもうゴリラが1匹いるじゃない」そうだった、既に俺の家でゴリラは飼育しているのだった。脳裏によぎる我が家の風景、その中にただならぬ存在感でもって現れる我が家の愛ゴリラ。再び「ゴリラとエンカウントした時のテーマ曲」が流れ出し、すでに流れていたものと不揃いなまま重なってしまう。不和な二重奏が流れ続けている間も番ゴリラがこちらにゆっくりと、着実ににじり寄ってきている。

平衡世界

197回のダウンを経てショベルナイトをクリアし、現在いわゆる2周目プレイに入っている。のだが、これが定番でありながら相当な曲者で、1週目の装備エトセトラを引き継げる代わりに受けるダメージが倍&チェックポイントの半減がセットで付いてくる。この2要素とプレイヤーの腕という三重苦によって早くも暗雲立ち込める。でもこのモードをクリアしないとストーリーの核心に迫れないらしい、俺が真実にたどり着く日は訪れるのだろうか。
何故難しいものと難しいものが組み合わさってしまうのだろうか、という問いが中学生の頃から俺の中にずっとあった。ハードモードを選択してしまうと受けるダメージは増え与えるダメージは減り、敵キャラが画面を覆い尽くし大地は勇者を飲み込まんと裂け針が四方から突き出す。鋼の盾は革製に、賢者の杖がひのきのぼうにランクダウン、果てには帰還用アイテムが一財産ほどになる物価高。ノーマルモードのゲームバランスに居心地の良さを覚えた人間としてはあっちもこっちも高騰されては困ってしまう、一方がハードになる代わりにもう一方がソフトになってバランスをとるモードは存在しないのか。ビキニアーマーをビキニにする代わりにダガーを龍殺剣に換えておくれ。
この方式をショベルナイト2周目に持ち込むのなら、①ダメージ量はそのままでチェックポイントは半減②ダメージが増える代わりにチェックポイント倍増、のどちらかということになる。①はやや賽の河原で小石を積む作業感が生まれてしまうので②にスポットを当てることにするが、これはSASUKEのダイジェストを見ているような気分になれそうでなかなか良いのではないか。反り立つ壁に挑みそして破れる大丈夫たちのあの涙をもう一度。と、ここまではいいのだがこのモードの説明文として「コースが難しくなる代わりにセーブポイントが増えているぞ!」などと書くのは少し間抜けな感じがしてしまう。
かの有名なポケットモンスターにおいて「でんこうせっか」というどれだけ相手が速かろうとそれに先んじて攻撃できる技が存在するのだが、それも鈍重なモンスターが修得すればこそ有効活用できるものと思っていた、が、そもそも電光石火で動けるほどの速さが無ければポケモンの世界観に説得力が生じないことに最近気が付いた。ピカチュウが素早くなければサトシだってそんな命令は出せない。先のような間抜けな文で、果たして勇者の道中の険しさを物語れるのかも疑問になってきた。そもそも、バランスに重きを置いてきたがあっちは軽くてこっちは重い、という内容ではある意味でアンバランスといえるのではないか?自分で語っていてよく分からなくなってきた。ビキニアーマーをビキニにするモードくらいだなあ、俺程度では。

感想書かナイト

ショベルナイト。
ショベルナイト [オンラインコード]
やっている。スーファミっぽいドット絵スーファミっぽいBGMとスーファミっぽい難易度がウリの2014年発のレトロゲームである。2D横スクロールアクションという在り来たりなジャンル、ただし得物はショベル。キックスターターで開発資金を募ったところ目標金額の4倍も集まったという曰く付きの逸品、こんなゲームが欲しかったというオッサンの願いが今一つに。WiiU3DSダウンロード販売が始まったのが3か月くらい前、諸々の用事がようやく片付いたのでスマホケースを買うついでという名目でWiiU版のダウンロードカードを買ってきた。こそこそと動画を見てあーこのBGMかっこいいなあくらいの知識でショベルを担いだら理不尽に殺されまくった。なんだこれは。
Yボタンで通常攻撃、言ってしまえばそれだけなので複雑なものは何もないのだが、出が遅い上にショベルで掘るムーブが攻撃モーションとして採用されてしまっている。攻撃範囲はモーション見たまんまが反映されるので前方の敵キャラを倒すのにも一苦労。ショベルの刃が当たる範囲でかつ、当たるタイミングで掘らなければダメージは通らない。さらに下半身しかカバーできていない攻撃を当てることができても、その一撃で敵を倒すことができなければ敵キャラではなく自分がノックバックを食うので場合によってはそのまま穴へ急降下、もちろんこれは即死。仕方がないので攻撃時に隙がないジャンプ下突きをメインにして何とか最初の2ステージをノーミスでくぐり抜けることができたが、3ステージ目にて待っていたのは画面が暗転するというギミック。えぇー、こういうのってステージの仕掛けのネタが尽きかけてきた終盤で出てくるもんだと思ってたのに、見えない敵にぶつかった衝撃で見えない穴にホールインワン
フレームとフレームの隙間が見えなければ戦えない、という(大げさではあるが)格ゲー的な難しさからショベルナイトの死体の山を築き上げつつもようやくゲームクリアが見えるところまで来た。格ゲーやったことないけど。数は少ないものの各ステージの道中は長く、それぞれ5個程度あるチェックポイントを通過しながら攻略する、スーパーマリオではなくロックマンのスタイルをとっている。どっちもやったことないけど。チェックポイント周辺にはやはり死にスポットが用意されており、繰り返しプレイすることでトゲ穴溶岩など即死要素や敵の配置を覚えながら進む方法を模索する「死に覚えゲー」で、オッサンの願いの結晶とはかくも厳しいものなのか、とゲームパッドを握る手から汗が止まらない。ペスト医師のマスクをつけて画面上を高速で飛び回りさらには瞬間移動までするボスがいるのだが、こいつ相手に全く勝機が見えずただ鼻息を荒くさせる以外に為す術無し、ということもあった。敵のスプライトに当たるとダメージを受けるというアクションゲームの絶対則を恨んだのは生まれて初めて。
それでもこのゲームを投げる気にならないのは、陳腐ではあるが、このゲームの完成度の高さのおかげなんだろうな。良ゲーの絶対条件でもあるBGMの良さは各自で調べてもらうとして、救済措置の周到さがにわかゲーマーには嬉しかった。ダメージを受けるたびにHPが減り、レリックというサブウェポン的なものを使うたびにMPが減る。まあレトロゲームには当然のことだがこの最大HPとMPは序盤でもある程度までは増やすことが可能だ。特に体力は増やしておけば単純に長い時間戦えるし、ダメージを受けた直後の無敵時間を利用してのゴリ押しを通す機会も稼げる。事実中盤以降のボスはほとんど体力で殴り飛ばして攻略してしまった。やや損した気分。レリックにも注目で、村で買える「カオススフィア」は画面上をスーパーボールのように跳ね回り、これを上手く投擲できれば敵に多段ヒットして一気に削れるし、入手方法が特殊ではあるが10秒間無敵になれるトンデモな物まである。マリオロックマン格ゲーをやったことの無い人間ですら結構に楽しめるのだからターゲット層の連中については推して知るべしだろう。ところでレトロ風ゲームとはいえこれも現代の産物なのでやはりトロフィー的な要素もあり、中には「一度も倒されずにゲームクリア」が条件のものも。これは長いこと楽しめそうだ……

ドラッグストアで買ったやつ3連発

◆ジェル
定期的に、それも結構なハイペースで髭を剃らないとまずいお年頃。俺がチェ・ゲバラが如く髭の似合う男ならば何も問題はなく伸ばしっぱなしで街を闊歩できるのだが、放っておくと革命どころか村興しすらままならないツラと鏡の前で対面することになるので、剃らざるを得ない。そのくせ肌が弱いので習慣的な刃の往復に耐えるためにもシェービングジェルが必須なのだが先日切らしてしまったのでドラッグストアに。男の身だしなみ的なコーナーを物色するのだがこれまで使っていた花王サクセスの電気シェーバー用が陳列棚にない。代わりと言わんばかりに敷き詰められた花王サクセス安全カミソリ用。文脈の通り、普段の髭剃りに電気シェーバーを使っているので少々手をこまねいていたがこの2つの違いが分かる程高級な肌を俺が持ち合わせているはずもないだろう……ということで買った。安全カミソリ用。そして実剃。

すさまじい違和感と肌のヒリヒリ。余計な清涼感によってヒリヒリが加速する。違いなどあるはずもないと高をくくったものがほとんど違いしかないとは思ってもみなかった。その後も2回ほど使っては見たものの、所詮電気シェーバーと安全カミソリ用ジェルは相容れない存在なのだというこの世の理が明らかになるばかり。このままでは対カミソリ連敗が確実なので、別のドラッグストアまで出向いて花王サクセス電気シェーバー用のものを購入。使ってみると刃が滑らかに走る走る。同じ開発から出る商品でここまで違うものなのだろうか、と2本のボトルを並べて見比べてみるとまずボトルの大きさから違う、その上成分も大幅に違う、完全なる別物だった。やはり安全カミソリ用のものには清涼剤が入っていたし、一番多い成分がそれぞれ電気シェーバー用は水、安全カミソリ用はグリチルリチン酸2Kというよく分からんものだった(ちなみに2番目に多い成分は精製水)。

◆ツボを押す棒
足の甲が痛い。今の家に引っ越してから、つまり1か月ずっとだ。前までは足の裏が痛くて仕方なかったのにどうして。今まではこういうことがあったらお灸で気休めをしていたのだが、今の部屋には窓に網戸が付いていないのでお灸のために窓を開け放つと虫を大量に輸入してしまうような気がしたので、断念。代わりにツボ押し棒なるものを買う。今痛いのは何のツボなのかを調べてみると、どうも「胸部」らしい。漠然とお前胸が悪いぞ、と言われても一向に光が見いだせないので困った。あと自律神経が整ってないとも言われた。自律神経がダメだというとものすごく不健康そうな気がするので何かしら改善しようとは思うのだけれども何を改善すればいいのか。自律神経が整っていないのでわからない。

ペプシコーラストロングゼロ
不味い。

豆が欲しいかHere we go

糞にまみれている。団地に引っ越してから1か月と1週間が経過したが、ハトたちは一向に俺の部屋から離れる気配を見せない。一度ここを下見に来た時に糞がベランダを覆い尽くしているのを見て不安を覚えたときには、生活音がある程度続けばやがていなくなるという旨の説明を受け、入居に際して確かにベランダを掃除してもらったはずなのに既にカーテンを開くとあの時と同じ光景が広がっている。現代アートのごとく白かったり黒かったりする物質が無造作にぶちまけられている。

朝になるたびに憂鬱な気持ちになるのは何も俺が低血圧気味だからというだけではなく、ハトたちの立てる音が目を覚ました俺の耳に入って来るもののほとんどを占めているからだ。クルッククルック……とかグクゥグク…などの縄張り争いと思われる阿吽のゲリラライブ、加えて窓一枚隔てても驚くほどに大きい羽音。時折ペチョという湿った音がはっきりと聞こえて笑顔を思い出せなくなるのが大体午前7時くらい。どうだろう、生活音でダメージを受けているのはむしろ人間側なのではないだろうか、という疑問が鎌首をもたげてくる。「もっと音を立てて生活すれば」などとも言われたが男一人が生活を営む上で必要な音というのは限られてくる。歌ったりやたらコピー機を動かしたりベッドの上で倒立でもしたりすればいいのだろうか。示威的な生活音への正解をいまいち掴みかねているが、先に挙げた例が紙資源やカロリーの使い方として不健全なのは何となく分かる。そんなことをしても寂しさが募るばかりで仕様がない。

生活音でハトを退けることはもう無理だろう、ということで最近はベランダの手すりに乗っているのを見つけ次第窓を小突いて威嚇するという原始的な手段をとっている。単純かつ簡単で対症療法的、だが朝だけではなく夕方にも行われる争いにベッドや椅子からすかさず参戦し続けなければならないことへの負担は軽いものではなかった。この部屋は俺のものであるという認識そのものが間違っていたのかもしれない。平和の象徴でありながら好戦的な生物たちの縄張り争い、その中でも俺は下から数えた方が早いらしいことがまだ乾ききっていない糞からも伝わってくる。